前回、vol.1の「コアバリュー策定と評価制度の刷新で生まれた変化」の記事では、コアバリューの策定から評価制度の刷新を実施し、現場のスキルが向上したお話を伺いました。
本記事のvol.2では、評価制度をどのように現場に落とし込めたのかをご紹介します。
前回はこちら:創業140年の老舗「和田萬」が語る組織改革の歩み vol.1 コアバリュー策定と評価制度の刷新で生まれた変化
リーダーシップ研修が導いた現場の変革
――評価制度を刷新し、現場に落とし込んだことで、社員のコミュニケーションスキルが当初は「1」や「2」のような評価だった人も「4」や「5」といった高評価に変わったとのこと、とても大きな変化ですね!どのようにして現場のコミュニケーション力が上がったのでしょうか?
和田萬様 取締役:
各現場のリーダーが成長したことで、社員のコミュニケーション能力も総合的に上がったんです。
トリプルバリューのリーダーシップ研修を受けたことでリーダーが抜け漏れなく現場とコミュニケーションが取れるようになり、それによって部下もしっかりとリーダーの話を聞くようになったことで、全体のコミュニケーション力が上がりました。
和田萬様 代表:
当初は、工場現場へメールを送っても「忙しいから電話で連絡してください」と言われ、返事すらしてくれない状況でしたが、今では「返事が来ていませんが、どうなっていますか?」と我々がメールで催促されるようになったぐらいです。笑
――リーダーを改めて任命し、リーダーシップ研修を始めるまではどのような状態だったのでしょうか?
和田萬様 取締役:
例えば、現場の部下がリーダーに何かを相談してもそのままの状態で対処をせず、部下が直接社長へ相談しに来る状況でした。
なんとかしようと考えてくれるリーダーもいましたが、自分自身で意思決定ができず、結局社長のもとへ全ての相談事が集まっていました。
トリプルバリュー 山本:
今回、評価制度を作ったタイミングで、「リーダー」というポジションを改めて明確にしたんですよね。
和田萬様 代表:
そうですね。役職が付いている人は一応いますが、その方が現場でマネジメントをしているというよりは全員横並びで、各部署の中間ポジションを担っている人は当時いませんでした。
そこで今回、今まで役職が付いていた3人に新たに3名追加して、合計6名のリーダーを改めて任命しました。
和田萬様 取締役:
また、改めてリーダーを決めただけでなく、全社員の前でリーダーの任命式を行いました。公にみんなの前で正式なリーダーだということを証明することで、ポジションを明確にしたかったんです。
――リーダーから「やりたくない」などの意見は出てこなかったのでしょうか?
和田萬様 代表:
そうなんです、反対意見が出てくるのかなと思っていたのですが、何もなく。そもそも、リーダーというポジションが何をするものなのかを知らなかったので、意見も何もなかったんですね。
新しい評価制度で第1期目の評価を迎えるタイミングが来て、リーダーそれぞれに「自分たちで部下の面談をし、評価してくるんだよ。」と伝えた時に初めて「自分たちがするんですか!?」と自覚した状況でした。
和田萬様 取締役:
あの時はきっと、リーダーのみんなはとても焦っていたと思います。笑
いざ面談をしてみると、面談時間に遅れてくる部下や、評価に対して怒り出す部下などもおり、みんな苦戦していました。
ですが、それまでにリーダーシップ研修を受けてもらっていて、本当に良かったです。
トリプルバリュー山本:
第1期の評価をする前に、そもそもリーダーとは何か、何をすべきかと、評価者としての考え方、姿勢を研修しましたね。
和田萬様 取締役:
みんなあの研修に「リーダーってそういうことなのか!」と前のめりになってすごい熱量で聞いていたことをとても覚えています。
和田萬様 代表:
事前に山本さんにリーダーシップ研修、評価者研修をお願いして良かったです。
「これはとても重要ですよ!」と研修で話してくださっていたことが、評価のタイミングでリーダー自身に「体験」として起こったので、「知識」で終わるのではなく、現場での「実践」に繋がるリアルな研修になっていました。
和田萬様 取締役:
そうですね、山本さんの研修スタイルがとても中小企業に合っていて、本当に良かったです。
とにかく明るい!笑
それってとても大切なことで、やっぱりリーダーポジションの方はある程度年齢も高く、勉強する・教えられるという場に慣れていないメンバーにとって、「研修」ってつまらないものに感じると思うので。
山本さんの研修スタイルはロールプレイングを交えながら楽しく学べる場にしてくださっているので、リーダーの参加する姿勢も前向きなものでした。
――評価者研修をするに当たって、研修ステップにどんな工夫があったのでしょうか?
トリプルバリュー山本:
評価者研修では「評価制度の必要性と目的の理解」と「評価者として評価をしてみる実践」の大きく2つのパートに分けて実施しています。
評価制度の目的と必要性を把握しておかなければ、いざ評価しようとした時に「結局何をしたらいいのかよくわからない。」といったことが生じる要因になるので、なぜこれらが必要かということもしっかりと理解してもらうように意識しています。
――なるほど。リーダーシップ研修はいかがでしたか?実際に変化を感じる場面はあったでしょうか?
和田萬様 代表:
とても変わりましたね!
自分の意見を曲げず、現場の声を汲み取れない人もおり、もしかしたらこのタイミングで辞めてしまうのでは。と思っていた人もいました。
部下からも毎月不満の声が上がっていた状態だったのですが、リーダー研修を受けてから、今では現場からの不満の声も出てこなくなり、むしろ、部下から「リーダーの方も頑張ってくれているので」といった称賛の声が出てきています。
――それは素敵ですね。実際に講師の立場から見て、変わったなと思う部分はあったでしょうか?
トリプルバリュー山本:
そうですね、最初は研修でも「何処か揚げ足をとろう」といった感じの質問があったのですが、今では本気で部下を育成したい、育ってほしいといった思いの具体的な質問が出てくるようになりました。
――研修を始めてから、どれくらいでそのような変化が見えてきたのでしょうか?
和田萬様 取締役:
研修を受け始めて3、4回目から兆しは見えてきていましたね。
これまで自分の意見を変えなかったリーダーが、「現場を育てなきゃいけない」「自分もできてないけど・・・」というような発言をするようになり、とても驚きました。
和田萬様 代表:
他にも、「業務をどう平準化するか考えないといけませんね」と発言し、現場全体のことを考えてくれるようになりました。
今までは、「その業務は私しかできないので、他の方に教えることはできません」と閉鎖的だったのですが、「僕しかできないものがあるのは良くないと思っています」と、会社全体のことを思った意見を述べてくれるようになり、現場をどう育てるべきか考えてくれています。
――会社一丸となって何処に向かうのかをリーダーも示せるようになり、組織が回りだしたんですね!
和田萬様 代表:
そうですね。今までは研修会場一つ作るのにも、上の指示を仰がなければ行動に移すことができない状況だったのですが、今では「会社としてこうだと思うので、このように判断してやっておきました」と、自分たちで考え、意思決定をしてくれるようになりました。
和田萬様 取締役:
他にも、「会社としてこれを大事にすべきだと思うので、私の部署のこの方にはここのスキルを伸ばしてもらいたいと考えています」といった意見が出てきたり、リーダーがそれぞれの部署で自分はどうすべきか、部下をどう育てるべきかを考えてくれるようになりました。
トリプルバリュー山本:
リーダー達の間でしっかりと判断軸ができているなと思い、やはりそれは代表と取締役、リーダーの間でコミュニケーションをしっかりとり、会社の方向性を示せているからだなと思いますね。
和田萬様 取締役:
ありがとうございます。
リーダーとの面談の際に、何か話したいことはありますか?と聞いても、「いつも話せているので大丈夫です」といった返事をもらっており、我々としても嬉しいですね。
また、「それでも迷った際には我々のミッションに立ち戻り、どう意思決定をるすことが和田萬らしいかを考えてください。」と最近伝えるようになりました。
やっと、刷新したミッションが指針として意識してもらえるような組織になったかと思うと、とても感慨深いですね。
続きはこちら:創業140年の老舗『和田萬』が語る組織改革の歩み vol.3 営業改革が導いた新規開拓と成長の軌跡
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