事例・インタビュー

NTTドコモの未来を担う新カンパニーが掲げる”Purpose & 3 Values”企業のパーパスと社員一人ひとりの価値観をカードがつなぐ

日本を代表する通信事業者のNTTドコモから、2022年に初の社内カンパニーとして誕生した「スマートライフカンパニー」。dポイントを軸とする金融・決済やエンタメ・コンテンツ開発などの非通信事業を総合的に担い、企業成長の中核を担う存在として位置づけられています。

組織の再編にともない、2つの事業部やキャリア人材など様々なバックグラウンドを持つメンバーが共に同じ方向を向いて進むための指標として、立ち上げと同時に”Purpose & 3 Values(パーパス&スリーバリューズ)”が掲げられました。

このパーパス&スリーバリューズを組織に浸透させ、個人の価値観と重ね合わせて仕事に生かすためのツールとしてエンゲージメントカードを導入いただいた経緯や成果について、組織育成を担当するスマートライフ戦略部の城間様、堀井様にお話を聞かせていただきました。


若手の価値観発見とパーパス浸透を叶えるツールを探して

ーースマートライフカンパニー様は、組織育成のツールとしてエンゲージメントカードを見つけて下さいました。当時、どのようなことを実現したいと考えておられたのでしょうか?

堀井様:私たちは2022年にドコモの2つの事業部が1つになり、カンパニーとして独立しました。もちろんドコモ全体のスローガンは存在しているのですが、存在価値と個性を持つカンパニー独自の指針が必要だと考えて、新たに作られたのが「Purpose & 3 Values(パーパス&3バリューズ)」です。

もともと別の事業部であったり、キャリア人材採用も積極的に行っていたため、社員はさまざまな専門性やバックグラウンドを持っています。その1人ひとりに「組織が持っているパーパスと3つの価値に、あなたの価値観を重ねたとき、どこに共感しますか?働く上で大切にしたいのはどんなことですか?」と問いかけ、考えてみてもらいたくて。

それにはまず「自分の価値観」を知ることが必要ですよね。そんなツールを探していたんです。

導入後1年で、若手社員を中心に300人以上がワークショップを体験

ーー現在、エンゲージメントカード導入からまだ1年ほどですが、積極的にご活用いただいていると伺いました。

城間様:はい、これまでに1回あたり60人参加するワークショップを5回実施し、計300人がエンゲージメントカードを体験しました。私たち育成担当者にとっても、すっかりこのカードがなじみのある存在となっています。

ーー300人も!ありがとうございます。ワークショップはどのような形で進められたのですか?

城間様:まずは会社のパーパスやバリューには特に言及せず、各自で自分の価値観に合う7枚のカードを選んでもらいました。さらに特に大切だと思う3つを残し、その理由や3つの価値観に共通するものを言語化します。続いてグループ内でそれをシェアし、自分の価値観とグループで働く仲間の価値観を知るというところまで進めます。

ーー7枚から更に3枚まで自分の価値観を厳選し、共有されていらっしゃるのですね。

城間様:エンゲージメントカード公式サイトに色々なやり方が紹介されているので参考になりました。その後、今度はスマートライフカンパニーのパーパス&3バリューズの存在意義や行動指針、目指すべき方向性を解説します。そして先程残しておいた3つの価値観と共通する組織の価値観はどれなのか考え、選んでもらいました。

ほかにも、新入社員の配属が決まった後に行われる「目標宣言報告会」で、各自が発表を終えた後のグループワークでカードを使用したり、チームビルディング用に各部署へ貸し出したり、幅広く活用させてもらっています。

エンゲージメントカードで研修の価値が向上

ーー実際にワークに取り組んでみて、皆様の反応はどうでしたか?

堀井様:どの回も、本当に楽しく取り組んでいましたね。「カードを選ぶ」という作業がとても大きな価値を持っていると思います。部署も性別も異なる初対面の相手でも「へえ、そのカード捨てるんですね」「うーん、欲しいけど〇〇だから…」と必ず会話が生まれますし、「あ、これって自分の中で思いのほか大事なんだ」と再認識できたりもします。

3つの価値観の共通点を見つけるのは、さすがにみんな苦労していたようですが、「共通点が見つからない」「なぜこの3つなのか」と深く考えることに大きな意味があると思っています。

ーー過去の研修と比べていかがでしょうか?

堀井様:実は何度か外部研修を依頼したことがあるのですが、表面的な「組織文化の醸成」といったテーマで成果があいまいでした。エンゲージメントカードを導入してからは、課題がクリアになり、若手に持ち帰ってもらえるものが増えたので、非常に弊社にマッチしているツールだと感じています。

キャリア開発へのストーリー作りに活用したい

ーー「もっとこんなことをしてみたい」「こんな風にカードを活用できれば」といったご要望などはおありでしょうか?

堀井様:現在、エンゲージメントカードは主に入社3年目までの若手社員の研修に活用しています。しかし、それ以降の活用方法を考えた時に、次につながる打ち手がまだ見つかっていないんですね。

若手社員たちが抱えている課題・不安の中でも大きなものの1つがやはり「キャリア」だと思います。

組織の育成という観点で見たときに「若手社員がキャリアを描くためのアプローチとして何ができるのか」からブレイクダウンしていき、それなら来年はこれをして、その準備段階として今年はこれをして…というストーリーが作れれば理想的なのですが、今のところは「価値観」「キャリア」と単発のテーマでの実施になりがちなことが課題です。

ーー年次ごとに企画運営するリソースも必要になりますよね。

堀井様:そうなんです。ただ、3年目以降の社員やキャリア採用の社員などに向けてもう少しライトな内容を企画できれば、まだまだ使える場面はたくさんあると感じています。

ーーそうですね。たとえばワークの内容は同じでも、時期が異なると結果も変わるため、それが役立っているというお声も多くいただきます。選んだ価値観を保存しておき、半年後や1年後にやってみたり、ライフステージの変化・人事異動のタイミングなどで再度やってみるという具合です。
選んだ価値観と以前のものを比較するとギャップがあり、自分の成長や考え方の変化に気付くことで、ネクストステップを話し合おう…というように使ってくださっている会社もあります。

1on1や採用に、中堅~管理者層への活用アイデア

ーーその他に、おすすめの使い方や活用方法を知りたいという部分はありますでしょうか?

堀井様:エンゲージメントカードのワークは若手には非常に好評で、私たちもそれが一番の目的だったので本当に良かったです。一方で、中堅層や管理職にとっての活用イメージが難しく。「自分の価値観くらい、もう分かっているんだけど…」となりそうです。

ーーなるほど!中堅層の方は、自分自身の価値観発見というよりは、チームや部下との信頼関係を築く・職場の心理的安全性を高めるという用途で使われることも多いです。

その他にも、採用試験で面接官がカードを用意して応募者と3枚ずつ選び、お互いにその理由を話すことで、相手の人となりが見えるというユニークな使い方をされている会社もあります。

堀井様:弊社では最近1on1が推奨されているんですが、業務の振り返りやフィードバックなど部下がやや身構えてしまいそうな内容も含まれるため、管理職は会話の進め方に困っているかもしれません。そこでエンゲージメントカードを使ってみるのも良いですね。

ーーおっしゃる通りです。全体のうち10分だけカードに取り組むと決めておいてざっくばらんに話すことで、悩んでいるのは仕事が原因なのか、それともプライベートなのか…という本質が見えてくることもあります。

堀井様:そもそも、よほど心を開ける関係性でないと、急に話すのは難しいですよね。

城間様:その点、エンゲージメントなら、カードに選択肢があるので、自分が話しやすいテーマを選ぶこともできますし、より面談者の話を引き出しやすいかなと思います。

ーーありがとうございます。ぜひ、引き続きさまざまな場面でご活用下さい!