エンゲージメント向上は、企業が成長を続けるための重要な要素です。従業員が企業に対して強い帰属意識やモチベーションを持つことで、業績や生産性が向上し、離職率の低下にも繋がります。
しかし、単に雇用条件を整えるだけでは、十分ではありません。本記事では、企業の成長を支えるエンゲージメントの本質と、そのための具体的な施策について解説します。
本来のエンゲージメントとは?
エンゲージメント向上について考える際、多くの企業では、雇用条件や自由な発言環境を整えるといった要素が優先され、挑戦や成長の必要性が後回しになりがちな傾向があります。結果として、離職率は低く抑えられるものの、企業の収益性や成長には結びつかないことが多いです。
本来のエンゲージメントとは、従業員が自分の仕事に情熱を持ち、企業の目標に貢献しようとする姿勢を示す指標です。企業の目標に貢献することで得られる達成感や、自己成長がモチベーションとなる形で維持されるものです。そのため、従業員の成長が企業の成功に結びついていると実感できる仕組みが重要です。これにより、企業全体の業績が向上し、組織の安定性も強化されるのです。
エンゲージメント向上が企業成長に与える影響
労働生産性の向上による業績アップ
エンゲージメントが高い従業員は、自発的に課題を解決し、効率的に業務を遂行します。また、エンゲージメントの高い職場では、コミュニケーションが円滑に進むため、チーム全体の生産性が向上します。厚生労働省の報告によれば、エンゲージメントの高い企業では、労働生産性が向上し、業績アップに直結する効果が確認されています。
離職率の低減による組織の安定性の向上
エンゲージメントが高い従業員は、企業に対する帰属意識が強く、長期間にわたって働く意欲を持ちます。これにより、離職率が低下し、企業は新たな人材を採用するためのコストや教育・研修コストを削減することができます。離職率の低減は、組織の安定性と持続可能な成長に大きく貢献します。
組織内イノベーションの活性化に繋がる
エンゲージメント向上は、どの業種や業態でも組織内のイノベーションを促進します。エンゲージメントが高い従業員は、日々の業務に対して積極的で、改善提案や新しいアイデアの提案を自然に行います。こうした積極性は、業務効率の向上だけでなく、新しい製品やサービスの開発にもつながります。
たとえば、製造業では生産プロセスの効率化、小売業では顧客対応の向上、IT業界では革新的な技術の提案など、エンゲージメントの高さがイノベーションを加速させ、組織の競争力を高めます。
エンゲージメント強化のための施策
企業理念・ビジョン・バリューの浸透
企業理念やビジョンが明確で、それを従業員が理解している企業は、エンゲージメントが高い傾向にあります。企業の方向性や価値観を従業員と共有し、自分の業務が企業の目標にどう貢献しているかを理解させることで、モチベーションが向上します。
透明性が高く、自己と組織が成長できる人事評価制度
評価基準を明確にし、従業員が自分の業績やプロセスが正当に評価されていると感じることは、企業との信頼関係を強化し、エンゲージメントの向上に繋がります。
さらに、フィードバックの場を設け、評価の理由や今後の期待を伝えることが必要です。自己と組織の成長を促すことが、評価制度の本質です。
承認・称賛の文化の醸成
承認や称賛の文化を醸成することは、エンゲージメント向上に非常に効果的です。上司や同僚が従業員の努力や成果を称賛することで、従業員の自己肯定感が高まり、モチベーションが向上します。
人間関係の質の向上
良好な人間関係が築かれることで、心理的安全性が高まり、結果としてエンゲージメントも向上します。上司と部下(縦の関係)、同僚(横の関係)、他部署間(斜めの関係)など、あらゆるレベルで意見交換や相談がしやすい環境が必要です。自分の意見が尊重され、ひとりの人間として大切にされていると感じることで、従業員は安心して業務に取り組めます。そのため、円滑なコミュニケーションを促進する環境づくりが欠かせません。
人材戦略におけるエンゲージメント向上の役割
人材育成における研修とエンゲージメントの関係性
目的が明確で、従業員が参加する意義を理解している研修は、従業員のエンゲージメントを高めます。なお、従業員が参加する意図を理解できていない場合は、無駄な研修に終わってしまうことがあります。
また、1回で終わるような単発の研修ではなく、定期的な研修や数日間実施する研修は効果が出やすくなります。研修を重ねることで、その学びを現場で活かしたり、振り返りをする時間が設けられるため、実践にも紐付けやすくなり、充実した研修として効果が上がります。
エンゲージメントを高めるためのリーダーシップとマネージメントの重要性
リーダーシップとは、チーム全員が同じ目標に向かって進むための推進力です。効果的なリーダーシップは、従業員のエンゲージメントを高める上で欠かせません。リーダーが従業員に明確な目標を示し、適切なフィードバックやサポートを提供することで、従業員は自分の成長を実感し、やる気が高まります。
一方で、マネジメントは従業員の管理やコミュニケーションを重視します。従業員の話に耳を傾け、適切なフィードバックを行うことで、信頼関係が築かれ、エンゲージメントがさらに向上します。
まとめ
エンゲージメント向上は、従業員の離職率の低下や生産性の向上、さらにイノベーションの促進に寄与します。企業は従業員の成長を支援し、透明性の高い評価制度や承認の文化を醸成することで、従業員との信頼関係を強化し、エンゲージメントを高めることができます。
エンゲージメントが高まれば、企業の競争力や持続可能な成長も向上し、長期的な成功へと繋がるでしょう。
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