株式会社ラピラス
代表取締役 神谷様 / 広報・人事担当 佐々木様
沖縄県で発達障害を抱える子どもたちや特別な支援が必要な子どもたちへの支援を手がける株式会社ラピラス(5事業所展開)。放課後等デイサービス・児童発達支援・相談支援事業を通じて、子どもたちが社会に出たときに自信を持って歩めるよう、日々専門的な支援を提供しています。
しかし同社は、福祉業界特有の課題に直面していました。「人のために働きたい」という奉仕の心を持つスタッフと、組織を継続させるための経営の両立。この難題に、トリプルバリューの研修を通じて挑み始めた代表の神谷様と広報・人事担当の佐々木様に、その変革の軌跡を伺いました。
- 【課題】
- ・福祉業界特有の「奉仕の心」と「経営の持続性」の両立の難しさ
- ・経営層と現場スタッフの意識ギャップ
- ・報連相・PDCA等、ビジネス基礎スキルが組織に浸透していない
研修内容(ビジネス基礎研修)
| 第1回 | エンゲージメントと心理的安全性の向上研修 |
| 第2回 | プロのビジネスパーソンのヒューマンスキル研修 |
| 第3回 | プロのビジネスパーソンのホスピタリティ研修 |
| 第4回 | プロのビジネスパーソンのPDCA研修 |
| 第5回 | プロのビジネスパーソンのホウレンソウ研修 |
| 第6回 | プロのビジネスパーソンのビジネスコミュニケーション研修 |
| 第7回 | エンゲージメント型リーダーシップ研修 |
| 第8回 | 会議・ファシリテーション研修 |
- 【効果】
- ・連相のスピードが格段に向上し、結論から話すコミュニケーションに変化
- ・研修で学んだことを午後の現場で即実践する姿勢が定着
- ・メンバーのマインドが変化(リスク思考→ポジティブ発信、内向き→積極的コミュニケーション)
研修導入の背景と出会い
福祉業界特有の課題――「奉仕」と「経営」の両立

――改めて、この業界特有の、組織としての人材育成の難しさについて教えていただけますか?
佐々木様:すごくあります。経営側からすると、従業員の生活の保障をしてあげないといけない。でも、働くスタッフからすると、奉仕の心なんですよね。福祉で働くというのは、「人のためにやりたい」という思いで来てくださる方が多いんです。
だから、「売上をより伸ばそう」とか、そういうのを持ち出すと、みんな逃げ腰になったり、「そのために私たちやってない」って言われてしまうんです。でも現実的には、「今期の賞与はどれくらいですか?」とか聞いてくるんですよ(笑)。
――なるほど……。
佐々木様:だから、「私たちの事業っていうのは慈善事業じゃなくて、サービス業なんですよ」と。福祉は利益を追求してはいけないという風潮がありますが、今の働く人たちは、自分の補償をもちろん気にします。給与だったり、賞与だったり、待遇だったり。
でも、「みんなに還元したいから、売上も意識していこう」と伝えると、「売上のためにやってないです」と返ってくる。この認識のギャップを埋めることは、私たちだけでは難しく、第三者の力を借りないといけないと思ったんです。
――具体的には、どのような課題があったのでしょうか?
神谷様:例えば、見学希望の問い合わせがあっても、スタッフが「いっぱいです」と断っちゃうんですよ。まだ枠に余裕があったとしても、「今いる職員がそこまで育ってないから」という勝手な判断で断っていく。そうすると子どもが入らずに緩い現場が続くのですが、たまに満員までの人数になるとスタッフは「もう無理です」と言ってすぐに辞めてしまう人も(笑)。
佐々木様:だけれども、「賞与がほしいです」と面談時にストレートに言われるんですよね。
1年目の挑戦と失敗――「同じテーブルで学べば同じ意識になる」という甘さ
神谷様:そこで最初の1年目は、数字を管理職が意識しないと現場に下ろすことができないよね、という考えから、数値意識をメインにした研修を入れました。
当初はトリプルバリューさんを知らなかったので、他社さんに依頼をしていました。
佐々木様:私たちが直接言うと、スタッフからは「社長がいい車に乗りたいから言っているんだろう」とか、「自分が贅沢したいから言っているんでしょう」って思われてしまうんですよね(笑)。
だったら、管理職には、同じ数字意識や経営意識を持ってほしい。
それで、管理職4名で最初の研修を実施したのですが……結局、難しかったですね。2人は前向きに取り組んでくれました。でも、もう2人は「なんでこんな研修を受けているの?」という雰囲気でした。
――なるほど……。
佐々木様:同じテーブルで一緒に私たちと勉強したら、同じ意識になるのではという考えが甘かったなと感じました。各々の価値観やビジネスに対するマインドから違ったんですよね。
神谷様:障害特性とか支援のやり方など、この仕事に必要な基礎知識の研修はありますが、報連相やPDCAといった基礎がそもそもできていなかったんですよね。一般企業であれば当たり前にある研修が、福祉の業界にはあまりないんです。
――そこで今年度は、もう少し基礎的なところから始められたのですね。
神谷様:そうです。今年は「次世代リーダー」をターゲットにしたいなと。今いるメンバーの中には、現職の管理職もいるんですけど、次に管理職になってほしいなと考えている人たちを6名選びました。
トリプルバリューとの出会い――「ワクワクする」直感

――どういう経緯で弊社を選んでくださったのでしょうか?
神谷様:沖縄県産業振興公社のLIDEPRO(リデプロ)という実践研修のプログラムがあるのですが、そこで去年、ある企業がトリプルバリューさんの研修を受けた内容を話していたのです。その発表を聞いて、「ああ、すごい。面白そうだな」って。本当に私自身がワクワクしたんですよね。
御社のビジョンにある「ワクワーク」という言葉もすごくいいなと思いましたし、それで今回お願いしようかなと。
――次世代リーダーに「受けてよ」と伝えた際の反応はいかがでしたか?
佐々木様:私の前では「ありがとうございます」という前向きな返事でしたが(笑)、実際、1回目に山本さんの研修でみんなと顔を合わせたときは、ピリッとした緊張感がありました。いい意味での緊張感でもあるし、ちょっと不安も。
「やります」とは言ってるけど、ものすごく不安な気持ちを抱えながら挑むんだなというのは、そのとき感じましたね。
研修を通じて組織はどう変わったか

研修の反応――「3時間があっという間」
――実際に受けてみて、いかがでしたか?
佐々木様:すごく好評でした!
神谷様:「3時間があっという間だった」とみんな話しますね。
佐々木様:研修でインプットしたことを、現場ですぐにアウトプットしやすい状態になっている点と、次の研修までのモチベーション維持の仕組みとして、課題図書を出してくださっている点がとてもいいですね。
一般的には、研修が始まってから回数を重ねるごとにどんどんモチベーションが下がっていくイメージがあったのですが。でも、トリプルバリューさんの研修ではモチベーションが維持されている状態で、次の研修に挑んでいるんです。
神谷様:午前中に研修を受けた後、午後は仕事で子どもたちをお迎えするんですけど、普通だったら「慣れない研修で疲れたな。」となりませんか? でもスタッフの温度感が違うんですよね。ポジティブに変換されて、午後の現場で実践してみようという前向きな姿勢が感じられました。
印象的なエピソード①――「報連相」ワークでの気づき

――特に印象に残っている研修のエピソードはありますか?
佐々木様:「報連相」のワークですね。研修はどの回も座学だけでなく、ワークを取り入れていただけるのですが、今回はチームAとBに分かれ、実際に報連相の体験をしてもらいました。
トリプルバリューさんが上司役で、少ない情報をチームA・Bに伝え、ワークをしてもらいます。そして、最初に「何でも聞いてよ」と上司役から一言だけ。
一方のチームは、言われた課題を自分たちでまず8割ぐらいやってみて、その進捗を報告するという流れでした。そして、もう一方のチームは、最初から「何分までに終えなければならないのだろう?」という初歩的なことからでも「まずは聞いてみよう」という感じで進みました。
――なるほど。
佐々木様:そして、8割程度完成するまで何も聞かなかったチームの方が、マネジメントポジションの人たちだったんですよね。自分たちの様子をこのワークを通して初めて客観的に見ることができたようでした。
これまでは、「今の進捗どうなの? どこまでいってるの?」と何度聞いても、本人たちはなぜ聞かれているのか、恐らくピンときてなかったんでしょうね。
それが、このワークで「ああ、自分たちはずっとこういう行動をしていたんだ」と気づいてくれた。その後、マネジメントポジションの方からもレスポンスがすごくよくなりました。
印象的なエピソード②――「ノミの話」と経営陣の変化

佐々木様:「ノミの話(能力に制限をかけない)」という内容も印象的でした。
ノミって、すごく高く飛べるらしいんですけど、箱をかぶせたら、もちろんその箱の高さまでしか飛べなくなる。だから、「先回りして箱をかぶせるな。この人には能力があるのに、先回りして、どんどん箱をかぶせていたら能力が生かせないよ」という意味だと私は解釈しました。
――なるほど。
佐々木様:それを今度は逆に意識しすぎて、「どう携わったらいいんだろう?」となり(笑)。でも、7回までの研修(全8回)を一緒に受けて、みんなの受講している姿を見ながら、「まだまだしっかりとスタッフを育てなきゃいけない時期だったな」ということを、私自身もすごく実感したんです。
それで、1月から現場に行ってるんですよ。
――以前よりも現場に入られたんですね!
佐々木様:はい。もっと現場の職員たちと一緒に入りながら、思っていることや考え方を伝承しないといけないなということを、この研修を通して感じました。
今までの私たちの伝え方では伝わっていないこともわかったので、今回の研修で受けた言葉を借りながら、「この前ああだったよね、こう言われたよね。」と、共通言語で伝えやすくなったなと思います。私自身も大きな変化がありましたね。
具体的な変化――スキルとマインドの両面で
――研修前と研修後で、スタッフの変化はどうですか?
神谷様:行動が変わってきたなというのを感じます。行動までのスピード感があったり、報告のタイミングが早くなったり、結論から話をするという点は、すごく変わりました。
また、個人プレイをするのではなく、自分たちがマネジメントをしなければならない現場のスタッフに対しても、研修で学んだ「上司役」として意識しているんだろうなということをすごく感じます。
佐々木様:私が実際に現場に行って様子を見ていても、マネジメントのメンバーたちが部下に気を遣いながら、「私たちも偉くはないので、一緒に頑張ろう」という話をしています。
神谷様:管理職のイメージって、威厳を持たなければならないとか、そういうことに気を取られていたと思うんですよね。でも、研修で学んで、管理職とはそうじゃないんだ。もっと部下とコミュニケーションを取って、みんなで前に進んでいく状態を作らないといけないんだ。ということを理解してくれた。それを意識してくれているようで、部下とのコミュニケーションがより増えてきたのかなということが目に見えて感じています。
――すごいですね!
佐々木様:はい、マネジメントメンバーの変わりようにとてもびっくりしましたね。
トリプルバリューの研修の特徴――「目線を合わせる力」

――トリプルバリューの研修は、他社とここが違うなと感じたところはありましたか?
佐々木様:私たちの職員は、こういった基礎的な研修を受けてこなかったメンバーで、若いんですね。「分からないな」という受講者の表情を見て、その目線に合わせて補足してくださるので、「それを受講者に言ってほしかった!」という、わたしたち経営者からもありがたい内容が多いです。他社の研修では、なかなか同じ目線に立って内容を変える講師はこれまでいませんでした。
また、全員が研修後にマインドセットして、「午後から頑張るぞ」となっている。全員をまとめてくださる力がすごいなと感じました。
そこで、今回研修を受けていない残りのメンバーにも同様の研修をしていただけるよう、新たに依頼をさせていただきました。管理職だけが学んでも、共通言語がないと現場に落としにくいので。
今後の展望とメッセージ

今後の展望――「福祉×ビジネススキル」の最強チームへ
――今後、どういった組織を目指していますか?
佐々木様:福祉の人たちって、「私は支援員だから」という、「一会社員ではないよ。」という意識を持たれている方が多いのですが、そうではなく、「まずは一人の会社員としての意識を持ち、今、自分自身が行っている業務が直接子どもたちへの支援につながるんだよ。」ということを自覚してもらえる環境を継続して作っていきたいですね。
神谷様: どういった組織を目指すかという点は正直まだぼやっとしていますが、今回受けた人材育成に関しては、今後もずっと継続してやっていきたいなと考えています。それぐらいの投資をしていかないと、会社としても成長しないと思うので。
一般の企業が学んでいる当たり前のスキルをしっかり習得して、そこにプラスアルファで福祉の専門的知識を学べたら、とても強固な組織になると考えています。
私たちは、子どもたちが将来社会の中で自信を持って活躍できるよう支援を行っています。そのためにも、福祉の専門性だけでなく、組織として成長し続ける力を身につけながら、より質の高い支援を提供していきたいと考えています。
まとめ
今回のインタビューを通して感じたのは、株式会社ラピラス様が「社会的使命」と「経営の持続性」という両立の難しいテーマに、現実的に向き合っているという点でした。
「福祉は奉仕」という理念と、「組織として継続していくための経営」という視点。この両立には、組織全体が同じ方向を向き、共通の言葉で対話できる状態をつくることが重要であると改めて感じました。
印象的だったのは、「研修を通じて、経営陣自身にも変化があった」という佐々木様の言葉です。研修は受講者だけでなく、経営層にとっても自らのあり方を見直す機会になっているようでした。
また、「全員で学ぶ」という方針も特徴的でした。一部だけが学ぶのではなく、組織全体で基礎を共有することで、共通言語を育てていく。その姿勢からは、福祉の現場においても経営の視点を大切にしようとする意志が感じられます。
子どもたちに質の高い支援を提供し続けるために、組織として学びを重ねていく。トリプルバリューは、今後もラピラス様の取り組みを支援してまいります。
「一人ひとりが未来や可能性に胸ときめかせ、ワクワクしながら働ける”ワクワーク”な社会を創る」ことを私たちはミッションに掲げ、働きがいの高まる場を増やしていきたいと考えています。