株式会社一直線
代表取締役 楠美様、店長 坂井様
- 【課題】
- ・店舗の急激な拡大に伴い、店長クラスが「作業員化」し、視座が上がらない状態が続く
- ・責任感や数字への意識が欠如し、マネジメントではなくプレイヤーとしての役割に終始
- ・各店舗の運営方針や価値観がバラバラで、組織としての統一感を欠いていた
- 【効果】
- ・店長たちが能動的に動くようになり、変化を前向きに受け入れる姿勢が定着
- ・後ろ向きな発言が目立っていた店長が前向きに転じ、目標を超える達成をするまでに成長
- ・研修参加者が4〜6名から22名へと大幅に拡大し、組織基盤が強化
- ・店舗間の協力体制が構築され、「変化を楽しむ」組織文化が醸成
研修導入前の課題:マネジメント不在の「作業員化」

――先ずはじめに、研修を導入されたきっかけを教えてください。
楠美様:一番の課題は、各店舗の店長の視座でしたね。人それぞれ感覚がバラバラで、責任感を持つという人が少なかった。数字を出すことに対しての必要性も感じていなかったと思います。視座を上げることによって自分自身が楽になる、作業負担が減ってくるということにも気づいていなかった。能動的な動きが少なくて、なかなか自分で考えるということをしなかったんです。
――具体的にはどのような状態だったのでしょうか。
楠美様:店長クラスが作業員みたいになっていて、全て自分でやってしまうんです。スタッフに任せることができない。例えば、アルバイトに発注をしてもらうとか、そういったマネジメントではなく、自分も一作業員として同じようにひたすら現場業務をやっていくような状態でした。
――トリプルバリューに研修を依頼されたのはどのような経緯だったのでしょうか。
楠美様:トリプルバリューの代表山本さんとの出会いは20年ぐらい前です。当時、私がバーテンダーだった店に、山本さんが仕事で沖縄に来る時によく来ていただいて。そこから友達というか、親交を深めさせてもらって、いろいろ教えてもらっていました。会社の規模が大きくなってきた時に、山本さんの力を借りたいなと思ったんです。
研修内容と初期の反応:懐疑から始まった学びの日々

――研修はどのような内容からスタートしたのですか。
坂井様:最初は、社員を一堂に集めて、「なぜこの研修を行うのか」という話からスタートしました。本格的に研修が始まったのは第2回ぐらいからで、各店舗が抱えている問題点の洗い出しから始まりました。それぞれの店舗で課題が山積みという状態で、店長同士のやり方がズレており、そもそもの課題点の挙げ方も粒度がバラバラでした。そういった点をすり合わせるために、3回目、4回目は、みんなが同じ方向を向けるような研修課題をいただいていました。
――読書課題も同時にスタートしたと伺いました。
坂井様:はい、第2回目ぐらいから読書課題をスタートしました。これまでに本を読むという経験がないスタッフが多かったので、最初のうちは読書が本当に大変な印象でした。私も読まないタイプだったので、初めて人から提示された本を読まないといけない状態になったので、簡単な読みやすい本からスタートさせていただきました。普段読まない本だったので、考えないといけないことがあるなぁと思いましたね。
――初期の研修参加者の反応はいかがでしたか。
坂井様:1回目、2回目は、正直、周りは興味ないだろうなという印象でした。『これって何の意味があるの?』とか『やったからどうなるの?』という、やってもいないことに対して、ちょっとネガティブな発言がありましたね。
――坂井さんご自身はどう感じていましたか。
坂井様:自分にとっては、持っていない知識を身につけられるいい機会だなと感じていました。当初、店長として担当している長堂屋をこれ以上良くするにはどうしたらいいのか分からない状態でした。売り上げが上がるとか、集客が伸びていくというのは、1〜2カ月で効果が出るものじゃないですよね。新しいことを始めたとしても、効果が出るまで結構な時間を費やすということは分かっていたので。自分自身の取り組んでいることの方向性が本当に正しいのか、足りない部分があるのであれば補ってもらえる機会があれば、と思って。いい機会だなと思いました。
楠美様:坂井さんは希少なアグー豚のしゃぶしゃぶ専門店「長堂屋」を担当しているのですが、やはり数字が圧倒的にいいんですよ。人気店で忙しくて、でも社員比率も低いのに結果を出しつつ、研修内容もしっかりまとめてくる。周りのメンバーもグウの音も出ないという感じでしたね。
転換点と1年後の成果:「自分事」として捉え始めた瞬間

――変化が見え始めたのはいつ頃ですか。
坂井様:研修を受け始めてから半年ほど経った頃から、研修で取り入れた内容を実践した効果が、それぞれの店舗で少なからず現れ始めたと感じています。各店舗で課題が出てきた際に、学んだ内容や話の意味、その必要性を皆が理解し始めてくれたように思います。
――具体的にはどのような変化がありましたか。
坂井様:最初のうちは、研修の場で相談しなくてもいいような、簡単にクリアできそうな課題点しか出てこなかったんです。そもそも、自分が受け持つ店舗の課題点すら把握できていない人もいました。それが研修を受けてから1年後の今では、課題がある程度明確になっているので、『今、この状況はどうしたらいいでしょうか』という質問が逆に来るようになってきています。発言内容の質が少しずつ上がってきているなと、聞いていて感じますね。
楠美様:これまで課題感が自分ごと化されていなかったんですよね。「誰かがなんとかしてくれる」とどこかで考えている他責状態だった。それが、この研修を受けて視座が上がることによって自責に置き換えられるようになり始め、この研修中も”自分ごと”で聞いてくれるように変わっていきました。
――印象に残っている研修はありますか。
坂井様:「ビジネスパーソンとは」という話をしていただいた時ですね。人材には4つありますっていうお話をしていただいて。自分が考えていることが、その内容の中に組み込まれていたりすると、『あ、ここは自分の考え方は間違っていなかったんだな』という発見ができたんです。それまで自分の頭の中だけで終わらせていたのですが、研修で学んだことを活かして言語化することによって、「自分の店舗の場合はどうなんだろう」と落とし込みしやすくなりました。
もう一つは、ロジックツリーの必要性ですね。それまでは、自分でも似たようなことは考えていたと思うんですが、ロジックツリーを教わった時に、より考えを深掘りすることができて。これを軸に業務を落とし込んでいくことで、抜け漏れも防ぎつつ、スタッフのみんなと共有しながら店舗を運用していくことができました。
――他の店長の変化はいかがですか。
楠美様:スタッフが能動的になり、ノーとは言わなくなりました。「まずはやってみる」というスタンスに変わってくれたことは大きいですね。研修前は、変化にとても拒絶的だったんですが、今は変化を受け入れ、楽しんでくれるようになりました。なので、きっとこれから結果がついてくると思います。
いつもネガティブな発言が多いスタッフがいたのですが、今はとても前向きになり、その店舗の目標設定を超えてくれています。本人も「視座が高くなったことで寛容になり、視野が広くなった」と言っていました。
――組織としての変化も感じられますか。
坂井様:1年前とは環境が整ってきていると思います。1年前に比べてスタッフ間の協力体制も強化されてきました。改善点を出し、解決しようという話し合いの場が、今とてもあると思うんです。1年前は本当になかったと思います。
また、研修時に常に課題図書があるのですが、「絶対にこんな本を読まなかっただろうな」という人も本を読んでいる。「それも面白そうだね。次貸してください」と、お互いが持ち寄る本に対して興味を持つようになってきています。習慣はすごくついてきたなと感じますね。
継続的な人材育成が生み出す価値

――飲食業界でこのような継続的な研修は珍しいのでしょうか。
楠美様:基本的に個人店では研修費用と対価が合わないので難しいでしょうね。5〜6店舗の複数店舗になってくると、研修を受けているお店もあるようですが、それでも珍しいです。知り合いのステーキハウスさんも研修を受けたけど、全員を集めることが難しくてやめちゃったとか。それでも、うちもやらなければ他店に勝てないなと思ったので。変化しないということが一番危ないと思っています。
――研修を続ける理由は何でしょうか。
楠美様:私はすごく社会に恩返しというか、感謝もしているので。うちの社員からしっかりといい待遇の人が出てほしいんです。頑張ってきたメンバーには、ちょっと世間よりはいい条件を提供したい。そのためには、しっかり利益が残る企業にしないといけないと考えています。
――この1年間の研修を振り返っていかがですか
楠美様:本当に良かったと思っています。半年、1年と続けていく中で、確実にメンバーの意識が変わっていくのを実感しました。特に「変化を楽しむ」という姿勢が根付いてきたことは大きな成果ですね。
坂井様:自分自身も成長できましたし、周りのメンバーの成長も目の当たりにできました。研修を通じて学んだビジネスパーソンとしての基礎やロジックツリーといったフレームワークは、今後もずっと使えるスキルだと思います。この1年間の積み重ねがあったからこそ、今の組織があると感じています。
「変化を楽しむ」組織文化。それは一朝一夕に築けるものではありませんが、継続的な学びと実践の積み重ねによって、確実に育まれていきます。
弊社の研修を導入してからの1年間、株式会社一直線様が歩んでこられたプロセスは、飲食業界における人材育成のひとつのモデルケースと言えるでしょう。同社が今後どのような進化を遂げていくのか、弊社も引き続き伴走してまいります。
「一人ひとりが未来や可能性に胸ときめかせ、ワクワクしながら働ける”ワクワーク”な社会を創る」ことを私たちはミッションに掲げ、働きがいの高まる場を増やしていきたいと考えています。