企業事例・インタビュー

井上 雅博 様 【1on1で社員一人一人の大切にしている価値観を知るということ】

トリプルバリュー本間理央

こんにちは。トリプルバリューの本間です。
この記事では、エンゲージメントカードをプレイした方々にエンゲージメントカードを利用して良かった点やプレイしたエピソードなどをまとめています。

今回のゲストは井上雅博さんです!
本日はよろしくお願いします!

井上雅博さん


●株式会社アドヴォネクスト 代表取締役
●たとみ農園株式会社 代表取締役
●一般社団法人 マーチング委員会 理事長
●京都精華大学 評議員
●2030 SDGs Game 公認ファシリテーター
●エンゲージメントカード 認定ファシリテーター


20年前から社員と1on1を実施。
株式会社アドヴォネクストの4代目社長に就任したときに、会社や組織を変えようと思い社員一人一人と向き合うことを決意。
個人面談を継続してきたことがエンゲージメントカードとの出会いにつながったと話していただきました。


この記事はこんな方におすすめ
  1. 「エンゲージメントカードと1on1」
  2. 「今1枚カードを選ぶとしたら?」
  3. 「「エンゲージメントカードをオススメしたい人」
  4. 「大切にしている価値観を通じてどんな自分になりたいか」

①「エンゲージメントカードと1on1」

トリプルバリュー
本間理央

20年前から社内で個人面談をされていたのは、どのような想いで始められたのですか。

井上雅博さん

会社を継承し、社長として何からスタートするべきか、どんな会社にしたいかを考えたときに、社員と共に経営していく会社にしたいと思いました。

そこで取り入れたのが「マネジメントゲーム」
土日の2日間で5年分の決算書を手書きでまとめ、勉強できるゲームです。
もう一つは社員全員と行う個人面談でした。
社員と共に経営する会社を目指すためには、お互いのことを理解する必要があると思いました。

トリプルバリュー
本間理央

昨年から個人面談でエンゲージメントカードを活用されているとお聞きしました。
それはどのような経緯だったのですか。

井上雅博さん

「一人一人が成長しながら働くこと」が「会社の成長」に繋がると考え、社員の成長機会を生み出すことを考えていました。
昨今はチームビルディングや社員一人一人の働きがいが重要視されていますが、20年前はまだまだトップダウンの企業も多かったように思います。

最近注目されているポジティブ心理学においては、「成功するのは幸せな人だ」と言われています。「幸せな人が成功する」のではなくて「幸せだから成功する」という考え方です。
Googleの「プロジェクト・アリストテレス」という会社内を調べるプロジェクトがあり、様々なチームのパフォーマンスを調べた結果、スキルが優秀な人が集まるチームと心理的安全性が確保されたチームを比較すると心理的安全性の高いチームのほうが成果を出すということがわかりました。
私は心理的安全性を高めるきっかけづくりに努めようと思いました。

トリプルバリュー
本間理央

ポジティブ心理学と心理的安全性はエンゲージメントカードとの親和性がありそうですね。

井上雅博さん

そうですね。
ちょうどその頃、商工組合中央金庫(略称/商工中金)で「幸せデザインサーベイ」という、金融機関なのに財務情報とかではなく、社員の幸せ度を測るという面白いサービスがありました。
社員全員にアンケートに回答してもらったところ、弊社の点数は全国平均くらいでした。

商工中金の担当の方たちがチームで「価値観カード」を使っていることを聞き、私も使ってみようと思い、同じような価値観カードを10種類ほど購入しました。
そのなかでエンゲージメントカードが一番面白そうだと思い、採用しました。
購入時はチームで活用しようと考えていたのですが、1on1で活用できると思い、まずは1on1で皆に体験してもらってからチームで使うのが良いと思ったのです。

トリプルバリュー
本間理央

エンゲージメントカードを使われて、皆さんの様子はどのようなものでしたか。

井上雅博さん

今までは社長と1対1で対話するのは緊張するという声もあったのですが、エンゲージメントカードを使うと自然体になれて面白かったという反応が多くありました。その空気感は今までの1on1にはなかったので、私自身も楽しむことができました。プレイ方法は、社員にテーマを決めてもらい、私も同じテーマで一人ずつと行いました。18人いると18通りの価値観の捉え方があって、誰一人として同じにはならないのです。そこが本当に面白くて良いところです。選んだ7枚のカード(価値観)をエンゲージメントカードのホームページにある画像作成でつくり、18名全員分を廊下に貼っています。社員たちがそれを見て「今度はこんなテーマでやってみよう」と話しているのが聞こえてきて、とても嬉しく思いました。

トリプルバリュー
本間理央

エンゲージメントカードを使うとパフォーマンスが上がると思われますか。

井上雅博さん

安心感があると人は動きやすいでしょう。
安心感が影響するんですよね。
人によって能力は違いますが、仕事をする能力はみんなあるじゃないですか。
まずは自分のパフォーマンスが出せるかどうかだと思うので、個々のパフォーマンスを上げていくために、安全な場づくりができることが大切だと思います。
エンゲージメントカードは自分の能力や大切な価値観を知り、相手と共有することで相互理解ができるツールだと思います。

トリプルバリュー
本間理央

エンゲージメントカードを使って自分の能力を知り、個々の能力、パフォーマンスを上げていくということですね。

井上雅博さん

そうですね。
個々の価値観をメンバーと共有することができたら、チームのパフォーマンスは高まると思います。
1on1の場合は、自分のことや相手の理解を深めていくことができます。
その結果として、安心感が得られます。

チームで連携するパフォーマンスももちろん大切ですが、まずは目の前の一人の人と向き合うことで得られるパフォーマンスを大切に考えたいのです。

トリプルバリュー
本間理央

そのような想いで全社員の方と1on1をされていらっしゃるんですね。
今後、チームの価値観の共有にエンゲージメントカードを活用することへの期待などございますか。

井上雅博さん

チームで仕事をするから企業である意味があります。
俗っぽい言い方ですけど、足し算じゃなくて掛け算にならなければならない。
その掛け算になる状況をいかにつくることができるか。

ヒントは「問い」にあると思っています。
チームメンバー一人一人がお互いの大切にしている価値観を理解することができたら、協力し合えるチームになり、必ず効果が出ると信じています。

②「今1枚カードを選ぶとしたら?」

トリプルバリュー
本間理央

今一枚カードを選ぶとしたら何を選ばれますか。

井上雅博さん

「承認」です。大事だなと思いますね。
自分で自分を承認してあげることは、パフォーマンスを発揮する際にとても大切なことだと思っています。
みんなと1on1をするなかで、そのようなことに気づかされることが多くあります。
難しいけれど、とても大切なことです。

自己承認を高めるためには、相当意識しなければなりません。
最近、「自己肯定感を高める」という言葉をよく耳にしますが、自分がやっていることを「ダメだな」とか他の人と比べて「なかなかうまくいかないな」とか思うのではなくて、精一杯頑張っている自分をまずは認めてあげようというところからスタートするといいと思います。

ポジティブ心理学の研究者、ショーン・エイカーが「毎日3つの感謝したいことをメモし、それを3週間続けると違う世界になる」と言っていて、実際にやってみたのですがとても良い効果を得ました。
最初は、感謝することを探してしまうのですが、慣れてくると「こんなことでよかったんだ」と気持ちが軽く感じられて、それができてくると自分を認められるようになりました。

「こうならないと幸せじゃない」と思っている人は多いかもしれません。
もうすでに、かなり幸せなはずなのに幸せなことに目がいかないんですよね。
視野を世界に広げて見れば、日本に生まれた時点で、すごく幸せなことってありますよね。
人と比べる物差しでは、幸せに気づかなくなってしまいます。

トリプルバリュー
本間理央

いい意味で楽観的になることが大事なのかもしれませんね。

③「エンゲージメントカードをオススメしたい人」

トリプルバリュー
本間理央

エンゲージメントカードをどのような人におすすめしたいですか。

井上雅博さん

誰にでもおすすめできます!
会社で考えるのであれば、「現状の問題を何とかしたいけど、どうしたらいいのかわからない」と悩んでいる人に使ってほしいです。

問題解決をするために、いきなり答えにアプローチするのではなくて、まずは関係性をしっかりと構築することが、実は近道になるからです。

トリプルバリュー
本間理央

20年前から個人面談の時間を大切にされていることに繋がるのだと感じました。
1on1をどのように捉えるか悩まれている方も多いと思います。
この記事を読んでいる方に、井上さんが捉えている1on1を伝えるとしたらどのようなものでしょうか。

井上雅博さん

すごく大切ですごく難しい質問ですね。
ネットなどで1on1ミーティングについて調べてマニュアル化しようとすると、「こういう話題を出すといい」と書いてあったりして、そのノウハウだけを自分の中に積み上げようとするから結局うまくいかない。
でもそれに終始してしまって、うまくいかないと思いながら続けてしまう。
その結果「最近どう?」になってしまうんですよね。

エンゲージメントカードを使うと、そこをクリアできるんじゃないかな。
自分がやるべきことは、相手と同じテーマに対して一生懸命に向き合うことなので、話題作りや会話のスキルを難しく考える必要はなくなります。
エンゲージメントカードが持っているパフォーマンスのままに向き合うことで、相手との関係性が良好になってくるのです。

1on1においても「問い」の質によって変化していきます。
何度もやっていくうちに「問い」のレベルが上がるように意識しています。

④「大切にしている価値観を通じてどんな自分になりたいか」

トリプルバリュー
本間理央

ご自身が大切にされている価値観を通してどんな自分になりたいですか。

井上雅博さん

「全力でやったらあとはお任せ」これは私が大切にしている価値観を一言で現したものです。「お任せ」というのは天に任せるという意味です。
「果報は寝て待て」と似ているかもしれません。
でも、ただ寝て待つのではなくて、その前に全力でやることが前提です。
「全力」においても、誰かと比べるものではなくて、自分の中の「全力」です。

このように、自分が大切にしている価値観を一言で現すことができたら、具体的に説明することができるので、エンゲージメントカードをプレイした社員全員に表現してもらっています。

トリプルバリュー
本間理央

社員一人一人の価値観を大切に経営されていることが伝わってきます。
社員の方と向き合ううえで、大切にされていることを教えてください。

井上雅博さん

私の好きな言葉で「人格で大切なのは機嫌のいいことです」というのがあります。
社長やお偉いさんと呼ばれるような人たちって、口をへの字にしているイメージがありませんか。
機嫌がいい人には決してみえませんよね。

そうではなくて、経営者ほどメンタルタフネスが必要だと思っています。
社員に良いことだけではなく、悪いことも言われることもあるけれど、それでも機嫌よくいられることが一番大切なことだと思います。

トリプルバリュー
本間理央

確かに、相手の機嫌がいいと悪い報告もしやすいと思いました。

井上雅博さん

エンゲージメントカードの言葉の捉え方で気づいたことがあって、例えば「励まし」というカードがあるけれど、相手にすごく良いことを言って励まさなければいけないと自分の中で重たく捉えていたけれど、そうではなくて、日頃からできることが大切なんですよね。
「いい資料だね」とか、気持ちを一言伝えるだけで励ましになる。しかも何気なく。

そのためには、やはり関係性の質が良い状態になっていなければいけないので、社員一人一人との関係性を構築することを最重要課題としてこれからも取り組んでいこうと思っています。

トリプルバリュー
本間理央

井上さん、今回はありがとうございます。
これからも『もっとワクワークする世の中』に向けて私たちと一緒に、1人でもワクワークする人を増やしていきましょう!これからもよろしくお願いします!